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やっと、逢えた
第3章 せめて、声だけでも
ため息をついてその夜もサロンに立ち寄った。

帰宅時間を遅くする為だけに、
そこで論文の続きを書きながら時間が過ぎ去るのを待つ。


ふと、電話が鳴ってるのに気付いた。

いつもなら葵が電話を取るけど、
今は施術中。

俺が電話に出ることはなくて無視するのが常だったけど、
なんとなく反射的に受話器を手にしていた。



「はい」とだけ言って、
相手の返事を待つ。


「あの…夜分に申し訳ありませんが、
葵先生はお手隙ですか?
わたくし、日向と申します」と、
ゆっくりと落ち着いた、でも若さを感じる声がする。


俺は思わず、受話器を強く握ってしまっていた。


「葵は手が離せません」という言葉をなんとか捻り出す。


「前回、急病で予約をキャンセルしてしまいまして…。
再度、予約をお願いしたいのですが…」



色々な感情が湧き上がってしまって、
言葉が出てこない。



「後ほど、改めてお電話致しますね?」


そう言って、静かに電話を切ろうとしているのが分かり、
焦ってしまう。



「いつが良いですか?」とようやく言うことが出来た。


「平日の夜か、土日ならどの時間帯でも大丈夫です。
葵先生のご予定に合わせます」



「今夜は?」


「えっ?」


彼女が少し戸惑うのを感じる。


「今夜は…これからだとかなり遅いお時間で申し訳ありませんので…」


そりゃそうだろう。


「葵から電話させますね。
電話番号は…」


カルテに書いてあるくせに、訊いてみると、
淀みない口調で番号を言う。

そのまま染み込んで覚えてしまうほどの流れるような声だった。


「では、宜しくお願い致します」と言って、
彼女 電話を終えようとする。

でも、俺は電話を切れずにいた。


すると、彼女が申し訳なさそうに、
そっと電話を切った。


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