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Blue
第5章 指示
「どうして泣くの?」

話すことも、指示されないとできなくなった美少年は、口を開き、

「もしボクがフェルメールだったら、あなたの美しさを、完璧に描ききれるのに」

襲いかかりたい性欲より、私に従うことと、芸術を志しフェルメールに憧れる、ピュアな北アルプスの美少年の心に、思わず私も、彼に感情を悟られないためのマスクの下の表情を崩してしまいました

私は、彼と出会うためにブルーを纏ったわけじゃありません
彼がフェルメールブルーに反応すると知っていたわけでもありません

これは、運命なのです

そして、彼は、運命が導いた完璧な被験体なのです

私は彼を、私の頭と心とカラダの闇を埋めるモノにするための研究と探究に没頭しようと決めました
そして、この美少年が、フェルメールに近づくために、私とのエクスペリエンスが糧になることを願うことにしました

そして、彼の目を再び捉え、指示を出しました


「脱いで」


マスクをしたままの大きな目で命じられた彼は、考えることを放棄するのに数秒かけた後、表情をつくれないまま、ホワイトのサマーセーターを脱ぎ、ホワイトのTシャツを脱ぎました

華奢だと思ったカラダは意外に筋肉があり、そしてしなやかです
今の東京の秋は寒くありませんから、彼が少しプルっと震えたのは、緊張しているのかもしれません
そして、私の指示に対する動きが、そこで止まりそうになったので、


「下も」


私からの追加の指示で、ベルトを外し、ジーンズに手をかけ、少し間をおきましたが、素直に脱ぎ、靴下も脱ぎ、ピッタリしたボクサーパンツだけになって、まっすぐ立ち、目を上げました

本当に美しいと思いました
メドゥーサが石にするのではなく、ミケランジェロに彫刻にしてほしい美しさです

今度は私の目が、彼の全身をスキャンします

グレーのボクサーパンツのヘソの下は、ゴムを押し上げて、ピンクの顔を出し、先端から溢れた汁で色が変わっています
かなりの大きさだと、一目でわかります

全身のスキャンを終え、私はその目を捉え、しばらく目を合わせたあと

「全部」

と、指示しました
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