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第11章 古女房

オヤジの留守中にこの家を訪ね、妻に"会社の方針とはいえ申し訳ない事をした"と謝罪したのだという。

それを聞いたオヤジは、街をフラついている時に見かけた口髭の似合う部長と美人妻、彼によく似た息子が仲良く歩いている姿を思い出し歯ぎしりした。

(クソッ！何が申し訳ない、だ！俺をリストラした張本人のくせに)

妻はオヤジの前で膝を着き、数十年ぶりに夫の手を握った。

「あんた…三人であたしの
田舎に引っ越してやり直さないかい？」

「え…？」