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第11章 古女房

リストラがバレたら離婚話を切り出されると思い込んでいたオヤジは、妻の言葉に驚きを隠せない。


「あの子も、それでいいって言ってる。好きな女の子がいるみたいだけど、お父さんの決定に従うって」

「あいつが？」

(俺のことなんてバカにしているとばかり思っていたのに…)

オヤジは妻と息子の意外な
家族愛にジンとして涙ぐんだ。


「バカだね、あんた…泣くんじゃないよ男のくせにさ」

「そ、そう言うお前だって」


早朝の玄関で、中年夫婦は抱き合ってオイオイ泣いた。


一家が引っ越したのは、それから一週間後だった。