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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第3章 従属と支配〜緋美
「生理中ではない?」
「はい。違います」

 質問されたらすぐに礼儀正しく答えること。

「よろしい。ではこちらでサインをしなさい」
「はい」

 ホールの片隅にある黒いハイカウンターで、ペンを渡され、一番上に承諾書と印字された書類を最後まで読む。そこには、簡単に言うなら、ここで受ける性的な加虐に関してのすべてを承諾するという文章だ。

 読み終えた私は、書類の最後にサインをした。これで私はこの館の奴隷になった。

 ここは傅く場所であり、従属し支配される処であり、それらすべてを従順に受け入れる場所なのだ。

 サインした承諾書を支配人 — 今からこの男性は支配人ではなく、私の"ご主人さま"だ — へ返す。

「うむ……今回は磔刑と……オプションのFrau(フラウ)体験も望むのだな。女よ」
「はい。ご主人さま」

 奴隷になった私には名前などない。ここではただの女。主(あるじ)に支配される、ただの女だ。名前を無くした私へ、ご主人さまの射抜くような視線が注がれる。

「理解していると思うがあらためて聞く。Frauはゲストからのあらゆる要望に応えねばならぬ。無論、その要望はおまえの身体を損なうほどの危害を及ぼすものではない。が、しかし、その要望には性交も含まれている」
「理解しています。ご主人さま」
「本当によいのだな。女よ」
「はい。ご主人さま」
「うむ。よろしい」

 再び真っ直ぐに立った私へ、命令が下される。

「女。服を脱ぎなさい」
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