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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第4章 恥辱の演奏会〜香緒里
彼女はステージに立っていた。スポットライトを浴び、ヴァイオリンと弦を持っている。ライトの輪の外は暗い。ステージの端は真っ暗だ。客席も同様に暗い。その闇の中に客がいた。密やかなざわめきが伝わってくる。
彼女は裸だった。あの夢のように、しばしば見るあの淫夢のように、丸裸で、黒いエナメルのパンプスを履いているほかは、生まれたままの姿でヴァイオリンだけを持ち、そのヴァイオリンで身体の前を隠すようにしながらステージに立っていた。しかし……これは夢ではなかった。
ヴァイオリンと弦を持つ手が震えている。しなやかな黒髪がかかる華奢な肩と背中も、女らしい優美なカーブを描いている腰も、ぴったり閉じ合わせている足も震えている。
身体が熱い。汗の匂い…自分の身体から汗の匂いがした。手のひらや脇の下にも、首すじと内腿にも汗が滲んでいる。
静かだった。
コンサートが始まる直前の静けさと同じだった。
しかしここにはオーケストラも指揮者もいない。彼女しかいない。
……こんなの…いや…恥ずかしい。
逃げたいのに足が動かない。
彼女は裸だった。あの夢のように、しばしば見るあの淫夢のように、丸裸で、黒いエナメルのパンプスを履いているほかは、生まれたままの姿でヴァイオリンだけを持ち、そのヴァイオリンで身体の前を隠すようにしながらステージに立っていた。しかし……これは夢ではなかった。
ヴァイオリンと弦を持つ手が震えている。しなやかな黒髪がかかる華奢な肩と背中も、女らしい優美なカーブを描いている腰も、ぴったり閉じ合わせている足も震えている。
身体が熱い。汗の匂い…自分の身体から汗の匂いがした。手のひらや脇の下にも、首すじと内腿にも汗が滲んでいる。
静かだった。
コンサートが始まる直前の静けさと同じだった。
しかしここにはオーケストラも指揮者もいない。彼女しかいない。
……こんなの…いや…恥ずかしい。
逃げたいのに足が動かない。