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奴隷館 Crime d’amour〜Mの肖像
第4章 恥辱の演奏会〜香緒里
 演奏を始めたものの、それは普段の彼女からはかけ離れたひどいものだった。揺れる胸乳をかばうために前屈みになり、薄めの陰毛がそよぐ剥き出しの股間を隠そうと、膝を曲げ太ももをよじり合せていたら、まともな演奏などできるはずがない。

 彼女が一生懸命に弾いているのはクライスラー作曲の"愛の挨拶"だったが、メロディはよろけて途切れがち、さらに音程も狂っていた。

 ひどい演奏であるのは彼女自身もわかっていたから、必死になって修正しようとした。しかし焦りと羞恥が彼女の枷となり、その腕を重くさせた。

「もうよい。女。やめろ」

 あの厳しい声が彼女の手を止めた。

「ひどい演奏だ。話にならん」
「も、申し訳ございません」

 オロオロしながら謝った。しかし、

「それでもプロなのか? 習いたての初心者のほうがまだマシだぞ」
「う、うぅ」

 追い討ちをかけるように責められ、嗚咽しながらうつむいてしまった。

「さあどうする。どうされたい」
「……ああ」
「自分の口で言いなさい」

 すると、顔を上げた彼女が小さくなにか言った。

「聞こえない。もっと大きな声で言いなさい」
「わたしを…お仕置きしてください。ご主人さま」

 相変わらず小さな声だったが、それははっきりと聞こえた。
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