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コンビニバイトの男の子
第5章 誕生パーティー
淫らな昂ぶりが、味見しろとそそのかします。悠希の後ろ姿を見ながら、指先へ舌を這わせました。
(・・・ちょっと、苦い?)
苦いのが苦手にもかかわらず、嫌悪感はありません。他の飛沫も指に付けて舐めながら、視線を胸元に向けました。白く濁った液体が、首元から寄せ上げてできた胸の谷間にゆっくりと流れ落ちています。指で流れを堰き止めて、左右に泳がせます。
その時、幼少期の記憶が走馬灯のように頭に流れました。
祖父母が飼っていた犬の散歩についていったときのことでした。道中にある電柱毎に止まっておしっこを掛けているのを不思議に思い、水で流している祖父に問い掛けたことがありました。
『ああ、これはマーキングと言って、おしっこで自分の場所だと示してるんだって。俺のものだぞ、ってね』
その犬がオスだったこともあって、祖父はそんな風に教えてくれたのですが、思い出したその言葉と悠希が精液を掛けた行為が結び付きます。
(私、悠希くんにマーキングされちゃった・・・)
悠希の精子が肌に吸収されているような気がしてきます。学生の時に何かの授業で見た、細胞が融合する映像まで浮かんできました。
(悠希くんの細胞に、侵食されていく・・・)
酔っている故の暴走と解っていながらも、その卑猥な思考にぞくぞくしてきます。
「これですよね」
悠希がこちらを向いたので、慌てて手を下げました。
「ほんと、ごめんなさい」
数枚手に取って、萩子の肌に付着した精液を拭き取ります。火照った肌にウェットティッシュがひんやりとして心地よく感じました。
「手にも付いてますよね」
(触ってるの、見られてたんだ!)
手を取り指先を拭いてくれている悠希を見ます。拭き終わった悠希が顔を上げ、視線が重なりました。
「僕、子供の頃に犬を飼ってたんですけど・・・」
突然の言葉にどきっとします。
(何を言おうとしてるの?)
「散歩の時に所々でおしっこ掛けるの、あれ、マーキングっていうんですよね」
そこで、悠希がにやりと嗤いました。
「僕、萩子さんにマーキングしちゃいました」
(また、同じこと考えてたんだ・・・。思考が似てるのかも)
萩子もはにかんだ笑顔を浮かべると、誘い文句に合わせるように、萩子はさっき思ったことをそのまま返します。
「マーキング、されちゃった」
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