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第2章 葬儀

小倉彩芽と田所修は車内で故人の思い出話に花を咲かせ、弔いの酒を酌み交わし、顔を赤く染めていた。彩芽は田所の著書をかなり読んでいたようで、それは彼を感心させていた。彩花も読書家だったことを思い出していた。

社内にベルが響き渡り、次の停車駅が新橋と告げた。彩芽が席を立った。

田所は「会社に戻りますか…？」と尋ねた。

外はようやく暗くなったばかりで、夕方だった。

彩芽は「はい…」と答え、バッグと葬儀で受け取った手提げ袋を手に取っていた。

「もし高山さんに飲酒を咎められたら…『田所に飲まされた…』と言ってください…」

その言葉を聞いて、彩芽は驚いていた。

「高山さんをご存じなんですか…？」

田所は「ええ…何度かお会いしましたよ…」と彼女の上司、高山編集長の名を出した。

彩芽は新幹線のスピードがゆっくりと減速するのを感じ、田所は彩芽が立ったまま思慮を巡らしているのが判った。