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Deep Throat - ディープスロート
第4章 秘密保持契約
田所は、「ちょっと考えたい…」と彩芽に伝え、席を立った。そして和室の仕切りを閉め、彼はキッチンへと向かった。
キッチンは広いリビングの隅にあった。田所は2-3歩進む度に振り返り、彩芽の姿を見るようにしていた。
冷蔵庫の扉を開け、男は「ふぅ…」と大きな息をついた。あの彩花が娘に乗り移ったような口調を思い出し、彼は息苦しくなった。何度も何度も冷蔵庫の中に頭を近付け、大きく息を吐き出していた。頭を少しでも冷やしたかった。
田所はミネラルウォーターのボトルを2つ、中から取り出した。
彩芽は待っている間に、白い封筒をバッグの中に戻していた。先程は生前の母の言葉を思い出し、話し方を真似ていた。結果として田所は驚き、席を外してしまった。
彼女は母の書いた手紙、田所の手紙を全て読めていなかった。神戸の家で受け取った時、3通に目を通しただけであった。文面から互いを求め合う気持ちが伝わっていた。
彼女はバッグの中のスマホをONにし、待受画面に何かメッセージ、もしくは着信がないかを確認した。何もメッセージはなかった。彼女もまた大きく息を吐き出して、指先でスマホの電源をOFFにした。そしてバッグのファスナーをしっかりと閉じた。
キッチンは広いリビングの隅にあった。田所は2-3歩進む度に振り返り、彩芽の姿を見るようにしていた。
冷蔵庫の扉を開け、男は「ふぅ…」と大きな息をついた。あの彩花が娘に乗り移ったような口調を思い出し、彼は息苦しくなった。何度も何度も冷蔵庫の中に頭を近付け、大きく息を吐き出していた。頭を少しでも冷やしたかった。
田所はミネラルウォーターのボトルを2つ、中から取り出した。
彩芽は待っている間に、白い封筒をバッグの中に戻していた。先程は生前の母の言葉を思い出し、話し方を真似ていた。結果として田所は驚き、席を外してしまった。
彼女は母の書いた手紙、田所の手紙を全て読めていなかった。神戸の家で受け取った時、3通に目を通しただけであった。文面から互いを求め合う気持ちが伝わっていた。
彼女はバッグの中のスマホをONにし、待受画面に何かメッセージ、もしくは着信がないかを確認した。何もメッセージはなかった。彼女もまた大きく息を吐き出して、指先でスマホの電源をOFFにした。そしてバッグのファスナーをしっかりと閉じた。