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第4章 秘密保持契約

田所が仕切り扉を開け、戻ってきた。手には水のボトルを持っていた。

「どうぞ…」とテーブルに水を置いて、再び席についた。
彼女も「ありがとうございます…」とお礼を言い、すぐにボトルのキャップを開け、口を潤していく。

「彩芽さんは他に担当している作家さん、ライターさんはいる…？」
田所が彩芽の業務に探りを入れた。

彼女は、「いえ…担当するのは初めてです…」と落ち着いた口調で答えた。

田所は彩芽の口調が落ち着いたことに安堵した。彩花のように話されるのを恐れていた。

彩芽は思い出したように言葉を続けた。

「もしお話がまとまれば…編集長は私が『専任でもいい』と言ってくれています…」

田所は彩芽の言葉を聞き、テーブルの下で指先を擦っていた。そして彩芽から視線を外し、和室のどこか一点を見つめていた。

田所は手をテーブルに乗せた。彩芽をしっかりと見つめる。
「大筋では合意です…細かいところは都度、2人で協議するということで…」

彩芽は「ありがとうございます…」と深々と頭を下げた。

手をテーブルから離し、「では…早速、編集長に報告します…」と言い、彼女は持ってきた手提げ袋に手を伸ばした。

田所は彼女の動きを見て、「ちょっと待って…」と彼女の動きを止めさせた。