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バニーガールの穴の奥
第10章 深夜…1時過ぎの巣穴

もしかすると……今ユイが…
座って居る場所が……、
こっち側だった頃のユイの
指定席だったのかも…知れないな…とか。

俺は…グラスを傾けながら
そんな事を…ぼんやりと考えていた。

「そんな事が…あったんだな……」

『知りたい事は…それだけ…ですか…?』

「酔ってるのか?」

『私だって…そう見えないだけで、
これだけ飲めば酔いもしますよ?』

「そんな…夜も…ある……か…」

普段は…客とキャストである自分との間に
適度な距離感を持っているユイだが、
酔って居るからなのか…
今は…そのいつも感じている
ユイとの”距離”が近い…。

ユイが俺にして来る話も…、
全部そのまま酒と一緒に
鵜呑みにするつもりはない……。

どっかの頂き女子…じゃないが…、
こう言う…世界に居る女に
何らかの”設定”は…付きものなのだ…。

客が『どうして”〇〇”ちゃんは、
こんなお仕事してるの??』って
話題になった時に困らない為の
”設定”であり”テンプレ”でしかないのだ。

だから……、俺は…ユイの話に
耳を傾けて頷いて聞き役に
徹しながらも……その話は…
適当な所で…ほどほどに…聞いていた。

コンカフェ嬢が…客に刺されたり、
地下アイドルがストーカー化した
オタクに刺されたり…なんてことは…、
別に…今始まった事でもなんでもない…。


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