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バニーガールの穴の奥
第1章 長い夜の始まり……

その店を…見つけたのはたまたまだった。

いつもの道を通って会社から
駅まで向かおうとしたら…、
水道管の破裂だか…道路の陥没だか
高架の一部が剥がれただかなんだかで
その道が通れなかったから。

迂回する事を、強いられることになって
いつもは通らない通りを通ったから。

はぁ~っと…俺は…自分のついて無さを
恨むみたいにしてため息をついた。

自分だけがこの道を通ってる訳じゃない、
ただ…毎日の様に利用してる道が
通れないと言うだけで…随分と
損をした様な気分になってしまっていた。

もう…遠回りをして…遅くなるんだったら、
どっかで適当に今夜は飲んで帰るか……?

家に帰った所で、一人暮らしの
ボロの安アパートには…、
俺の帰りを待っている人間なんて居ない。

そう…居ない…、

今は…居ない…。

…大学を卒業して…、有名企業に就職した。

順風満帆の出世街道を夢見ていた…。

『お前、○○に就職決まったんだって?
凄いじゃん…一流企業じゃん…良かったな』

なんて…羨ましがられたのは最初だけで。

いざ…社会人になって現実を知る。

四大を卒業したから…なんだ?

周りだってそんな奴らばっかりだ…。


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