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夜に咲く名前のない恋人達
第1章 新生ふらっと#らぶ

私はアイドルになったばかりの、ぷりん。

20歳。

小柄でストレートのボブヘアがトレードマーク。

昔から憧れていたアイドルにようやくなれた。

高校生の頃に見た、ふらっと#らぶの心結ちゃんに憧れていたその夢が叶い、メンバーカラーも同じ黄色を受け継いだ。

ぷりんという芸名の由来は、オーディションの応募用紙。

名前の下にあったニックネームの欄に、ゲームアプリと同じように、何気なく『ぷりん』と書いたのが始まりだった。

合格発表の日。

5人いた最終オーディションの参加者に向かって、女性スタッフが書類を見ながら告げる。

「ぷりんとたぬき、合格ね」

「え……?」

「ぷりんはそのままでいいから、たぬきはちょっと……ぽんちゃんね?」

はっ?ぷりん……!?

私って今から芸名はぷりんなのっ!?

もっとアイドルっぽい名前が良かったのに……

恋とか愛とかを混ぜて、キラキラした響きの名前がよかったのに……

まさか、ゲームの名前みたいに適当に書いた『ぷりん』がそのまま芸名になるなんて。

だけど、そんなことをスタッフに言う勇気もなかった。

人見知りで女性アイドルに憧れていた、ただの陰キャのオタクなのだから。

「ぷりんなんてまだ可愛いじゃん。私なんてぽんだよ?あり得なくね?アハハ」

ハスキーボイスで、そう言って笑い飛ばす、ぽん。

金髪のロングの髪が印象的で、王道系のフリフリ衣装のアイドルよりも、カッコいい系の大人のアイドルが似合いそうな雰囲気。

同じ年齢なのに、凄くお姉さんに見える。

そんなぽんが、ぷりんの肩を叩く。

「ぷりんっ!!同期として仲良くしような?よろしく~」

「あ……よろしくお願いします……」


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