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夜に咲く名前のない恋人達
第2章 ホストクラブデビュー
チェキ会が終わると、ぷりんは控室の隅でうずくまっていた。

結局、来てくれたファンは1人だけ。

同じ新人のぽんは、カッコいい女として、数人の女性ファンがついていた。

夢愛(ゆめ)先輩の列も、ちゃんと人が並んでいた。

それなのに……

私には、1人しか来てくれなかった……

次はきっと来てくれない……姫先輩のファンの人だけ……

「…………はぁ……」

売れなきゃ、アイドルなんて続けられない。

ファンがいなければ、存在しないのと同じ。

初日だから。自分にいくらそう言い聞かせても、想像以上にキツかった。

華やかな香水の匂いと共に、ファンの前のあざとい甘い声ではない、低い声が聞こえてくる。

「なんでそんなとこで落ち込んでんの?」

姫先輩だった。

「……すみません……」

「なんで私に謝ってんの?」

姫は冷たい目でぷりんを見てくる。

見る者をみんな元気にしたカリスマの心結。

そして『可愛い』の象徴だった姫。

そんなアイドルとしての姿を見てきたぷりんにとって、姫のイメージは一瞬で崩れ去った。

この人……怖い……

と。

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