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微熱に疼く慕情
第1章 【渇いた心】
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マンションまで辿り着いて、びしょびしょな姿を見て、お互い笑った
普通に鍵を開けて部屋に入れてしまう
風邪ひいちゃうから…と自分に言い訳して
また簡単に許してしまうんだ
「タオル持ってくるね」って言う私を行かせてくれない
玄関先が雨の雫で濡れていく
ガタッと音がしたのはシューズボックスに押し倒された私が当たったから……
重なってる……間近に感じる吐息
ヌルッと入ってきた舌先……
「ダメっ」と一度は拒んだのに、
「お願い、一華」って言われたら抗えなくなってしまう
「ダメ……」
力なんて入ってない
こういう時の強引さは勝てる気がしない
「んっ……シャワー浴びないと風邪ひくよ?」
「一華もじゃん、一緒に入る?」
「バカ、とりあえずタオル持ってくる」
タオルと着替えを用意して入るよう促したけど
私から先に入れって言われた
大智は玄関で全部脱いで着替えるって
その後シャワー借りるよって……
洗えるスーツで良かった、後で洗濯しよ
シャワー後、すぐに大智も浴びてもらった
洗いあがりのサラサラの髪も久しぶりに見た
なるべく、目を見ないで珈琲淹れようとしたら
キッチンで後ろからハグされた
「この服、誰か着てたやつ?」
「ん……どうして?」
「メンズでしょ、これ」
「さぁ?どうなんだろうね?」
腕を解いて珈琲カップを用意する
「服、乾燥してるから乾いたら帰ってね」と念押し
さっきのキスはただの事故
再びハグされて首元にキスされた
「こーら、勘違いしないで?雨に濡れたからシャワーを貸しただけ、それだけだから、終電には間に合うでしょ?」
「じゃあ何でさっきのキス、受け入れてくれたの?」
「え、無理やりしてきたくせに」
「でも舌絡めてくれた…」
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