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微熱に疼く慕情
第1章 【渇いた心】





襟を立てた大智にネクタイを掛けて締めてあげる
少し屈んで「ありがとう」って息も掛かるくらいの距離
今はどうかわかんないけど、私が締めてあげた方が早いだろうなって計算しての行為だからね
ニヤニヤするな


「わかってると思うけど、こういうの、最初で最後だからね」


「え…?」


「昨日は仕方なく…だから勘違いしないでね」


「何で?」


「はぁ~元の生活に戻ろうって言ってるの」


「え、え、何で?」


「時間ないから、上着着て」


「ねぇ、また今夜話そう?な?」


「話す事なんてないんだけど?忘れ物ない?」


「え、え、ない!いや、話はあるよ!俺があるの!」


慌てて靴履いて玄関から出る時
ドアノブにかけた手を握られ、強引にキスしてきた


「俺はこのまま終わりは嫌だよ…」


本当に時間ないのに……


「続けるならそれなりの条件があるけど」


「え、なに?」


面倒くさ……
とりあえず外に出て施錠する
歩きながら話す事でもないけど仕方ない
エレベーターに入って2人きりになったら……


「まず第一に元サヤに戻る事は絶対にない」


「え…?」


「後腐れのない遊びである事、私情は挟まない……つまり、恋愛関係にならない身体だけの関係である事、だね」


「一華ぁ……」


「それ以外は受け付けない……だからこの条件飲めないなら他当たって?大智なら引く手あまたでしょ?」


扉が開いたので外に出る
宅配ボックスのところで住人と会ったので挨拶すると、釣られて大智も挨拶してた
それにイラついてチッて舌打ちしたのも気付かれた


「ね、ねぇ、何でそんな変わっちゃったの?昨日のアレ、あまり気持ち良くなかった?」


外でそんな事言うな、バカ……
同じ駅に向かうのでさえイライラしてきた
早く撒きたい





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