この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
微熱に疼く慕情
第1章 【渇いた心】

「えっ!あっ!ごめん!わ、弁償する」
「いえ、大丈夫です…」
「いや、そんな訳いかないから、本当にごめん」
周りも見に来たりしてるの嫌だな、目立ちたくない
でも、思いきりレンズ割れてるし修復不可能ね
段ボール置いてひたすら謝られてもどうしようもない
「あ、経理の橘さん……だよね?」
「……はい」
こういう事も考慮して、次は眼鏡2本持ちしようと思った
ハンカチに包んで片付ける
いや、弁償とか良いです、そんな高価なモノでもないんで
大丈夫です、お気遣いなく……
あの、足元見えないのは危ないので今後は台車使われては?
ちなみに、裸眼ですけど視力は悪くないので作業に支障は致しません
だってただの、だて眼鏡ですから
残りの時間は致し方なく眼鏡をせずに過ごしたのですが、やたら色んな人に見られている気がする
何処へ行っても、何をしてても、ずっと視線を感じる
それはそれは……とても仕事がやりにくいのです
ヒソヒソ話聞こえてますよ
(え、誰…?橘さん?ウソ…)
(あんなビジュアルしてたの?ヤバくない?)
(眼鏡外したらあの顔って……漫画かよ)
すみませんね、ビジュアル良くて
こういうの恥ずかしいし面倒くさいから避けてた
真面目ちゃんで通して、
時間から時間までのお付き合いだから、と割り切って
大智との恋が終わってからは二度と社内恋愛なんかしないって決めたから
終業前、やはりか…と言うべきか
経理課まで来てしまいましたね、さっき眼鏡を踏んで割っちゃった人
マーケティング部の山岸 隼人(ヤマギシ ハヤト)さん
2年先輩でした……
「やっぱり弁償させて欲しい」
真面目か!って言いたいところだけど、仕事も定時で終わるし、買いに行くなら絶対1人が良い……

