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第1章 初体験の夜

「ああ、ミリア。」

これ見よがしに私に近づいてくる。

「私、結婚が決まったのよ。あと3か月で宮殿を去るわ。」

「それはおめでとうございます。」

一応、頭を下げておく。

「そう言えばミリア。まだ結婚の話は来ないの？」

胸がチクっとした。

「もう二十歳だというのに、話の一つも来ないなんて。」

その時、もう一人のメイドが近づいてきた。

「ミリアは、男爵家だからなかなか相手が見つからないのでは？」

「そうなの？」

「ええ。男爵家には男爵家しか、お相手がいないもの。」

それは私を馬鹿にしているのか。

いや、彼女の言っている事は本当の事だ。

加えて貧乏貴族の令嬢を、好き好んで結婚相手に選ぶ人はいない。