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第20章 ２０２５年４月２９日　～朝～

メインの水槽にカーテンの所から
真っすぐ進んで行けるように
通路分のスペースを空けて
両サイドに参列者の座る椅子が置かれていて。

私達は…スタッフの人が、
ゲストの人達を誘導して来るルートから
見えない感じの位置での待機で。

ベールダウンと…エスコートに
うちの両親も来てくれていて。

先に港斗くんが球体水槽のある
エリアに行って来ますねと
スタッフの人に呼ばれて入っていて。
会場からの拍手がここまで聞こえて来る。

自分達が選んだBGMがアトアの
館内放送で流れているのは
なんだかちょっと不思議な気分で…。

球体水槽があるエリアは
ドーム状になって居て
入口の部分はアーチ形に
切り取られて中がちょっと
暗めになって居るから外の光が
中に入り込まないように
カーテンで入口を仕切ってるんだけど。

そのカーテンが会場のドアの
代わりになって居る感じで。
アトアのスタッフさんに
カーテンを開いて貰って、
お母さんにベールダウンをして貰う。

妹と大和も来てたから、
ふたりに見送って貰って。

お父さんにエスコートして貰って
球体水槽の前で待つ彼の元まで
バージンロードを歩いて入場する。

その間も…私の会社の同じ部署の
見慣れた顔があって、ホッとして、
前に旧レイン邸宅で見た事のある
彼の病院の同僚の人達の顔もあって。

その中に…葵ちゃんと
小林君の姿を見つけて…
葵ちゃんがこっちに手を振っていて。
隣に座っていた小林君が
私の方に小さく会釈した。

挙式の様子は…アトアのスタッフさんが
持っているタブレットで撮影してくれて
あっちのオーシャンプレイスで
待機しているゲストの声も
手に持っているタブレットから聞こえている。

球体水槽の前に机が置かれていて
その奥に牧師さんが立っている。
まずは…新約聖書の中から
コリント人への手紙の一部を読み上げて。

厳かな…空気の中で挙式が始った。

その後は…キリストの教えを
お説教をしてもらう感じで。

説教の後は…、誓いの言葉…。

『この先どんなことがあってもこの人を愛し、
尊敬し、慰め、助け、生涯を通して
その誓約を守ることを誓いますか？』