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臨時ヌードモデル~梨果14歳の一年~
第66章 美幸の地獄一丁目
携帯電話に着信が入った。

(知らない番号……)

少し躊躇したけど“例の件”のような気がして応答した。

「……もしもし。」

「河海塾の酒井です。」

やっぱり河海塾の社長秘書の酒井さんだった。

「……真田です、こんにちは。」

「次の日曜日13時に恵比寿駅までいらしてください。」

「……はい。わかりました。」

「駅にお迎えにあがります。社長の希望でお通いの学校の制服でいらしてください。それと、その日の昼食は摂らないでください。それでは失礼します。」

とうとう呼び出しを受けた。その日河海社長に処女を奪われる。

(彼は約束を守ってくれた。もう逃げ出すなんてできない……)


「美幸、例の書類を書いて綿貫プロに郵送しておいたよ。よかったな、これで美幸も芸能人だな。」

「ありがとう。でも事務所に所属しただけで芸能人じゃないよー」

保護者の承諾書に父が印鑑を突いて送ってしまった。ますます私の逃げ場はなくなった。というか自ら逃げ場を無くした。少しでも心が揺らぐのを抑えるためだった。

(私は女優になるんだ。)
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