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なりすました姦辱
第1章 脅迫されたOL
 それにしても、須賀との確執と、自分がこの男に憑依していることの関連を探る糸口は、まるで見出せなかった。

 何か他の話を聞き出せないものか、と思案したが、
 
「そういうことだから、会社もプロジェクトも問題ない。君は療養に専念してくれ。もうすぐ客と打ち合わせだから、切るよ」
 面倒くさくなったのかもしれない、小田はこれ以上呼び止めることを許さない理由を述べ、「しかし、なんだか今日は妙に話し方がハキハキしているな。やっぱり須賀のことだけじゃない。君は疲れていたんだ。とにかく、リフレッシュすることだ」

 と付け加えられ、一方的に電話が切られた。

 相当しどろもどろな口調だったと思うのに、それでも、小田が見直すほどの喋り方とのことだった。こいつ、いつもはどんな感じなんだよ──切断画面を眺めていた保彦だったが、誰かとまとまった会話をしたせいか、気分は電話をする前よりもずいぶんと落ち着いていた。

 まず、なぜ自分はこれまで過ごしてきた体を離れ、こんな冴えない中年男に宿っているのか?
 理由も理屈も全くわからない。引き続き、得体の知れない恐怖を感じている。

 次に、この男は一体誰なのか?
 それは多少、明らかになった。心を患い、休職しているサラリーマンだ。

 何一つ素性を知らぬ奴でいるよりも、まだましだった。










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