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なりすました姦辱
第3章 報復されたハーフモデル

3
見事、オーディションの一次審査を通過できた。
その報せを伝えてきたチーフ・マネージャーは、正直なところ、事務所としての期待値はせいぜい5%程度だった、と明かした。今回のイベントは特定の雑誌購読者や、特定のファッション系統ではない全年代層向けだから、募集するモデルのバリエーションにも幅があって、幸運にも、そのうちの一つに真璃沙の特異性がうまくハマったのだろう、と。
「特異性」と言われて「ん?」となったが、とりあえず次の審査に向けてヘアスタイルと髪色を変えたいと言ったら、チーフは「ね、話聞いてた?」と苦笑いをした。ハーフモデルは掃いて捨てるほどいるけれども、南亜系ハーフのギャルはそうはいない。露骨なアイメイク無しでもギャルれる自分を貴重と思え。ついこの前まで高校生だったのだから、まだまだキャラは引っ張れるし、SNSで獲得してるファンも今はそれを望んでいる。20歳を超えてからでもイメージチェンジは遅くはなく、今のところはそのままでいるのがベストだ──、という旨を、真璃沙にもわかるよう、なるべく具体的に説明した。
確かに、オーディション会場の控室は、今までの仕事で出遭した同業者たちとはレベルが違った。キレイで当たり前、可愛くて当たり前、カッコよくて当たり前。特に、コンサバ系の路線を取っている子たちが集まっている様子は、もはや魔窟だった。更にこの上には、オーディションを必要としないビッグネームの人たちがいる。改めて厳しい世界であるということを痛感したし、確かに、彼女たちの中から抜け出るためには、多少安きに流れてでも目立ち、業界内外の知名度を上げていくしかない。
そんな、髪の見てくれなんかより、もっと大事なことがある。
チーフは声のトーンを改めた。
二次審査では、ランウェイ・ウォーキングが必ずあるから、特訓をしよう。
アイドルや女優、YouTuber、ひょっとしたらお笑い芸人も出演するイベントではあるが、彼女たちに対してと、プロモデルに対してとでは、観客の見る目はまるで異なる。当然、主催側からも「プロ」としての技量を求められる。まさかこんな早くにビッグイベントのチャンスがくると思ってなかったが、今の真璃沙では全く通用しないことは明らかだ。付け焼刃にはなってしまうが、事務所が契約しているレッスンスタジオで、せめて及第点を取ってこい──
見事、オーディションの一次審査を通過できた。
その報せを伝えてきたチーフ・マネージャーは、正直なところ、事務所としての期待値はせいぜい5%程度だった、と明かした。今回のイベントは特定の雑誌購読者や、特定のファッション系統ではない全年代層向けだから、募集するモデルのバリエーションにも幅があって、幸運にも、そのうちの一つに真璃沙の特異性がうまくハマったのだろう、と。
「特異性」と言われて「ん?」となったが、とりあえず次の審査に向けてヘアスタイルと髪色を変えたいと言ったら、チーフは「ね、話聞いてた?」と苦笑いをした。ハーフモデルは掃いて捨てるほどいるけれども、南亜系ハーフのギャルはそうはいない。露骨なアイメイク無しでもギャルれる自分を貴重と思え。ついこの前まで高校生だったのだから、まだまだキャラは引っ張れるし、SNSで獲得してるファンも今はそれを望んでいる。20歳を超えてからでもイメージチェンジは遅くはなく、今のところはそのままでいるのがベストだ──、という旨を、真璃沙にもわかるよう、なるべく具体的に説明した。
確かに、オーディション会場の控室は、今までの仕事で出遭した同業者たちとはレベルが違った。キレイで当たり前、可愛くて当たり前、カッコよくて当たり前。特に、コンサバ系の路線を取っている子たちが集まっている様子は、もはや魔窟だった。更にこの上には、オーディションを必要としないビッグネームの人たちがいる。改めて厳しい世界であるということを痛感したし、確かに、彼女たちの中から抜け出るためには、多少安きに流れてでも目立ち、業界内外の知名度を上げていくしかない。
そんな、髪の見てくれなんかより、もっと大事なことがある。
チーフは声のトーンを改めた。
二次審査では、ランウェイ・ウォーキングが必ずあるから、特訓をしよう。
アイドルや女優、YouTuber、ひょっとしたらお笑い芸人も出演するイベントではあるが、彼女たちに対してと、プロモデルに対してとでは、観客の見る目はまるで異なる。当然、主催側からも「プロ」としての技量を求められる。まさかこんな早くにビッグイベントのチャンスがくると思ってなかったが、今の真璃沙では全く通用しないことは明らかだ。付け焼刃にはなってしまうが、事務所が契約しているレッスンスタジオで、せめて及第点を取ってこい──

