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なりすました姦辱
第3章 報復されたハーフモデル

こうして、真璃沙はマンツーマン・レッスンを受けるために、渋谷にあるスタジオに通うこととなった。
まだ今日で三日目だが、初日にトレーナーから、「相当キツイものになる」と言われていたにもかかわらず、「ナメててすみません」という気持ちだった。一線級の人たちは、あの細い身体のどこに体幹を保つ筋肉を装備しているのか、左右にフラつかず、足元を見ず、頭の高さを一定に保った水平移動を、ものの何本かやっただけでクタクタになった。
しかし、学生時代は嫌なことがあると少しの我慢も利かず、簡単に投げ出がちだった真璃沙だったが、この厳しいレッスンについては常に前向きな気持ちで取り組むことができていた。モデルになることを自ら選んだ以上、克服して当然という義務感もあるにはあるが、スタジオの鏡に映る自分が、刻一刻と成長していく様を見ているのが、何よりも楽しかった。ランウェイを颯爽と歩く自分の姿が、どんどんと現実に近づいてくるのが実感できる。
この日も真璃沙はスタジオへ向かう電車の中で、スマホ片手にドアそばの手すりにつかまって踵上げをしていた。体幹を鍛えるのには、不安定な電車内での運動はうってつけだとトレーナーが教えてくれたからだった。これまでなら鬱陶しいと思いがちだった混雑した車内も、トレーニングをしていれば気にならない。
画面に表示しているタイマーに合わせ、次のセットに向けて腹筋とヒップを引き締め、つま先へ重心を移そうとした時だった。
(……え)
デニムミニの裾の縁に、何かが当たった。マイクロ丈とは言わないものの、太ももの裏側のずいぶん上のあたりにあるヘムラインが、内側に撚れて肌に触れている。これくらいの丈を履いて動き回ることはよくあるが、こんな感触で裾が脚に擦れることはまずない。
人為的な力が働かない限り。
(はぁ? ……また?)
オーディションの一次審査に行った日の朝が思い出される。学生時代は率先して避けていた朝の満員電車というやつは、こんなにも痴漢野郎が多いものだったのか。そうとは知らず、短めのスカートに加え、厚底のレースアップサンダルを履いてきたことを後悔した。己の股下の長さもあって、より「触りやすい」高さに腰を置いてしまっている。
まだ今日で三日目だが、初日にトレーナーから、「相当キツイものになる」と言われていたにもかかわらず、「ナメててすみません」という気持ちだった。一線級の人たちは、あの細い身体のどこに体幹を保つ筋肉を装備しているのか、左右にフラつかず、足元を見ず、頭の高さを一定に保った水平移動を、ものの何本かやっただけでクタクタになった。
しかし、学生時代は嫌なことがあると少しの我慢も利かず、簡単に投げ出がちだった真璃沙だったが、この厳しいレッスンについては常に前向きな気持ちで取り組むことができていた。モデルになることを自ら選んだ以上、克服して当然という義務感もあるにはあるが、スタジオの鏡に映る自分が、刻一刻と成長していく様を見ているのが、何よりも楽しかった。ランウェイを颯爽と歩く自分の姿が、どんどんと現実に近づいてくるのが実感できる。
この日も真璃沙はスタジオへ向かう電車の中で、スマホ片手にドアそばの手すりにつかまって踵上げをしていた。体幹を鍛えるのには、不安定な電車内での運動はうってつけだとトレーナーが教えてくれたからだった。これまでなら鬱陶しいと思いがちだった混雑した車内も、トレーニングをしていれば気にならない。
画面に表示しているタイマーに合わせ、次のセットに向けて腹筋とヒップを引き締め、つま先へ重心を移そうとした時だった。
(……え)
デニムミニの裾の縁に、何かが当たった。マイクロ丈とは言わないものの、太ももの裏側のずいぶん上のあたりにあるヘムラインが、内側に撚れて肌に触れている。これくらいの丈を履いて動き回ることはよくあるが、こんな感触で裾が脚に擦れることはまずない。
人為的な力が働かない限り。
(はぁ? ……また?)
オーディションの一次審査に行った日の朝が思い出される。学生時代は率先して避けていた朝の満員電車というやつは、こんなにも痴漢野郎が多いものだったのか。そうとは知らず、短めのスカートに加え、厚底のレースアップサンダルを履いてきたことを後悔した。己の股下の長さもあって、より「触りやすい」高さに腰を置いてしまっている。

