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なりすました姦辱
第4章 隔絶された恋人
 場所が場所なだけに、さすがに消音されてはいるが、映っている女は、首からIDカードを提げていた。

 したがって、それが誰なのかは、充分にわかる。


   *   *   *


 ──顔を肉棒で叩かれた直後、絶頂中の牝器を塞がれた汐里は、最初泣き笑いの表情を浮かべたが、それは寸暇のことで、体を揺らされていくうちに矛盾を悟り始めた。

 土橋が、見下ろしている。肉幹も、顔の前にある。

「ユウキっ!!」

 振り返ってすぐ、後ろから貫いている、そこにいるはずのなかった人物の名を叫ぶことができた。

 だがそれきり、恋人に対しては何も言わず、もう一度、前、そして上を向く。

「あ……、あのー……」

 何か訴えようと唇を開いたが、

「汐里っ……何だお前っ! ……なんなんだよっ、お前はっ!!」

 力や速度、あるいは幹胴の直径など問題とならない、業火の怨念が込められた強烈な打突を受け、汐里の声帯は震えるのをやめた。磨き上げているヒップを力任せに打ち鳴らされるごとに、甘えた幻想は粉砕され、往復する物感でもって偽りの無い現実であることを嫌というほど知らしめられる。

「はっ、……はあっ……、あ……、あ……」

 脳を激しく揺らされていても、自分は利口な女、そのせいで、何が起こったのかが理解されてきた。都会で働く綺麗なお姉さんのシフォンスカートの中で、自慢の脚線を滴垂が濡らす。やがて下腹を疼痛を伴って、膝の間に一条とならない湍流が迸り始めた。

「何だよっ、お前……えっ、お前はよっ! お、俺にキス……させといて……、なに、食ってんだ……何を食ってたんだよぉっ、お前はよっ……おいっ!!」
「……だって……、や……、だって……」

 そこから見ていたのか、と恋人の怒号は理解できたが、その後に何も言葉を継げないのであれば、「だって」という接続詞は、自分でも不適当だと思った。もう霞み始めてはいるが、男の股間に顔を埋ずめ、穢物を残さず平らげる真っ当な理由は、確かに自分の中にあった。一から思い出し、委細を説明するには長い長い時間を要するけれども、間違いなくあったのだ。しかしそれを為すには、もはや須賀の冷静さは完全に失われてしまっていた。
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