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~菊タブー~ さる旧家の闇深い母娘調教録
第1章 :禁断の胸騒ぎ
首都には似つかわしくない広大な過疎地に、その家はあった。
菊常家の屋敷は万博会場にも匹敵する広大な敷地を所有している。
選ばれた貴族階級の住まう場所、そう形容するしかあるまい。
大学の卒論の執筆を間もなく終えようとする愛子は、ふと、ここ数日母、雅子の姿を目にしていないことに気が付く。
日々、母は多忙にしており、数日、海外の要人からも東洋のクレオパトラと称された美貌を合わせぬこともしばしばだ。
が、母をよく慕う愛子は、その柔和で理知的な眼差しを見ない日を切なく思う。

(ママどうしているのかしら?)
奇妙な胸騒ぎを覚えたのも事実だ。
多忙とはいえ、邸宅内に気配もない。
父が長期の公務出張中とはいえ、言えないを差配する女官たちの姿も見当たらぬことに、嫌か予感を抱いた愛子だ。
母に、そして自分をも巻き込まんとする、魔の手———とはいえ、この時の藍子には母の身を案じているばかりだったが――――が迫りくることを、直感的に察していたのかもしれぬ。

広大な敷地には、父の生家もあり、そこには祖父母が住まう旧邸が鎮座ましている。
微かな明かりが漏れるその家を訪ねて観なければ、収まりがつかぬような、そんな不安定な審理に陥る愛子。
とっぷりと日の暮れた菊常家の敷地内、その参道のような細い道を歩き始めた――――。
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