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~菊タブー~ さる旧家の闇深い母娘調教録
第2章 :静寂の恐怖

祖父母の屋敷はいつも通り、よそよそしい空間だった。
殊に、従兄弟らとは異なる祖母態度に、密かな疎外感を覚えることも多い愛子だ。
が、天真爛漫で快活な性格が、彼女の心の翳を、表面化させぬことに一役買っている。
そんな祖父母の広大な屋敷は、いつにも増して馴染めぬ場だった。
人の気配がない。
いや殺気、いや狂気に似つかわしい逸脱した空気を感じた。
(なんだか、おかしいわ)
愛子は心の中で呟く。
明かに空疎な静寂を保つこの邸内だが、それは何か秘めたる事…それも邪なる何かを押し殺さんとしているように思えたのだ。
(ママはここにいるような気がする…)
娘は、母を想う。
愛する者同士だけが通じ合う、何かテレパシーのようなものを感じたのだ。
自然と愛子の脚は、邸内の奥へ奥へと誘われてゆく。
やがて、愛子は見慣れぬ鉄扉の前に立った。
耳を澄ますと微かな物音が彼女の鼓膜を打った。
貞淑な性格と厳格な倫理観を培ってきた乙女は、その得体のしれぬ恐怖への胸騒ぎに苛まれる。
ギギィ…
鉄扉は錠が外れており、真鍮製のノブは回転した。
愛子は、この扉の向こう側に行く決意を固めた。
古びた石造りの階段を降り切ると地下室には、再び細い通路が現れた。
まるで童話の魔女の城に潜り込んだような微かなときめきを覚えたのもつかの間だった。
愛子は、大きな錠付きの扉から僅かな明かりが漏れていることに気が付く。
その、明かりはくすんだ金色の覗き穴から発せられていた。
胸騒ぎはピークに達した。
愛子は意を決して、母親似の切れ長の瞳を押し当てた―――。
殊に、従兄弟らとは異なる祖母態度に、密かな疎外感を覚えることも多い愛子だ。
が、天真爛漫で快活な性格が、彼女の心の翳を、表面化させぬことに一役買っている。
そんな祖父母の広大な屋敷は、いつにも増して馴染めぬ場だった。
人の気配がない。
いや殺気、いや狂気に似つかわしい逸脱した空気を感じた。
(なんだか、おかしいわ)
愛子は心の中で呟く。
明かに空疎な静寂を保つこの邸内だが、それは何か秘めたる事…それも邪なる何かを押し殺さんとしているように思えたのだ。
(ママはここにいるような気がする…)
娘は、母を想う。
愛する者同士だけが通じ合う、何かテレパシーのようなものを感じたのだ。
自然と愛子の脚は、邸内の奥へ奥へと誘われてゆく。
やがて、愛子は見慣れぬ鉄扉の前に立った。
耳を澄ますと微かな物音が彼女の鼓膜を打った。
貞淑な性格と厳格な倫理観を培ってきた乙女は、その得体のしれぬ恐怖への胸騒ぎに苛まれる。
ギギィ…
鉄扉は錠が外れており、真鍮製のノブは回転した。
愛子は、この扉の向こう側に行く決意を固めた。
古びた石造りの階段を降り切ると地下室には、再び細い通路が現れた。
まるで童話の魔女の城に潜り込んだような微かなときめきを覚えたのもつかの間だった。
愛子は、大きな錠付きの扉から僅かな明かりが漏れていることに気が付く。
その、明かりはくすんだ金色の覗き穴から発せられていた。
胸騒ぎはピークに達した。
愛子は意を決して、母親似の切れ長の瞳を押し当てた―――。

