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第9章 実雅子の日常

不妊治療が終わり、日常が戻ってきた。

医師とはいえ、男性に性器を見られるという体験。出産ならまだしも、不妊の原因を調べるための検査。当然、『見る』というより『診る』になり、視線を感じて、羞恥に耐えなくてはなりませんでした。それからの解放。

複数の医師が立ち会い、看護師なのか、培養士なのか、わからないけれど、複数のスタッフの気配がする処置室での麻酔。そして、採卵。採卵後の違和感。不妊治療を担当する医師はなぜか男性ばかりだった。

最初にお世話になったのは、レディースクリニックだったから女医さんだった。そこからの紹介で行った不妊治療の専門医。そこの医師は男性ばかり。六人ほどの名前があった。不妊治療の権威と言われるような医師を中心に男性ばかり。

担当医は、実雅子と歳の差のない若い医師だった。そのためか、いろんな場面で、その権威と言われている医師が同席し、指導していることもあった。結果、いつも医師が複数。看護師も女性だけではない時代になのはわかるけど、若い男性だった。それに、培養士も。

実雅子もわかっていた。自分の体型が特殊であることは。不妊治療を始めた30歳の時点で、バストは95センチでGカップだった。ヒップも95センチ。医師からは痩せるように指導があった。

「村上さんの様な体型は、男性にとっては魅力的ですし、筋肉量の多い締まった身体は膣の締まりも良くて名器と言われるのですが、出産に関しては、マイナスな部分もあります。体重は産道を圧迫する原因ですし、膣の締まりが良いということは、生まれてくる胎児が締め付けられることを意味しますから」

そう言われ、ダイエットしていたが、結果は、旦那の精子も、自分の卵子も、状態が良くなく、顕微授精で何とか受精した卵の等級もあまり良くなく、着床せずに流れた。