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わたしの昼下がり
第41章 井戸端会議(2)
 ゴミの回収日に同じ棟の奥さんたちと顔を合わせると何となく始まっていた井戸端会議。でも、ここ最近、朝から蒸し暑く、皆、挨拶をかわす程度で立ち話まで始まることはなかった。

 今朝も汗がにじんでくるような蒸し暑さだったけど、どういう訳か□田さんと△本さんが何やら話し込んでいる。

 「おはようございます」

 挨拶だけして戻ろうとしたら□田さんに呼び止められた。

 「奥さん、ご存じ?」

 何のことだろうか。△井とのことがバレているのだろうかと心の中で緊張する。

 「おめでたなんですって」
 「ちょっと、もう…」

 △本さんが困ったような笑顔を浮かべている。

 「まあ、そうなんですか? おめでとうございます」

 □田さんも△本さんも、わたしより5つくらい年上。△本さんのお家は、上のお姉ちゃんはもう中学生だ。

 「おめでたいわよねぇ。それなのに△本さんったら『恥かきっ子』ですって」

 □田さんは根は悪い人ではないから、素直に喜べばいいのに…という気持ちで言っているのだろうが、どうしても冷やかしているように聞こえてしまう。

 「まさかとは思ったんだけどね。何となくおかしいって病院行ってみたらわかったの。もう4か月だって」

 つい、4カ月前の頃を思い出してしまう。団地に桜が咲いていた頃かしら。

 「じゃあ、あとちょっとで安定期ね」
 「もう、□田さんったら…」

 二人のやりとりは、セックスが禁忌でなくなることが意識されている。

 「でも、まさかデキてるなんて思ってなかったから…」

 普段通りセックスしていたということだろうか。

 「デキるなんて思わなかったし、デキてるとも思ってなかった、ってことよね」

 □田さんが妙に感情を込めてそんなことを言う。つまりは、避妊もせずにセックスをして、妊娠してからもセックスを続けていた、ということを言いたいのだろう。

 「すばらしいことよねぇ?」

 不意に相槌を求められる。勝手な想像に過ぎないけど、おそらくは夫との性交渉があることが”羨ましい”という気持ちを共有したいらしい。

 「そ、そうですよね」

 ただ頷くほかない。わたしも夫との性交渉がないのは同じだから。正確には皆無ではないけれど。

 『ご主人ともちゃんとなさっておいてくださいね』

 わたしの中に出していくたびに、△井は決まってそう言うから。
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