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第17章 込み上げる想い

　それを見る鬼の胸を、名も知らぬ感情が突き上げた。

「……ｯｯ」

　無意識に鬼は巫女に口付けていた。

「……ﾊｧｯ……ﾌｩ、ﾌｯ………！」

「‥‥‥ﾝ‥‥‥ｯ‥‥‥‥‥ｧ」

　フーッフーッと息を荒げ、口付けを深くする。

　片手で彼女の小さな頭を掴み、濡れた髪を絡めながら、別の手を胸に添えた。すると弱々しい鼓動が、彼の掌をかすかに跳ね返す。


　鬼は長く、長く、彼女のナカに自らの息を送り込んだ。


　まるで彼女の命を無理やり引き戻すかのように


　熱い想いを込めて。



（戻れ…──！）



「…ﾌｩ……ｯ……く、ﾌｩ………！」


「‥‥‥、ｩ‥‥‥」


「ﾊｧ……ｯ…」


「……ｯｯ…ぅ、…───ケホッ！」



　すると巫女の身体がビクンと震え、大きく息を吐き出した。



「‥はぁっ！‥‥ケホッ‥‥ケホッ！‥コホッ！」

　巫女の胸が上下し、か細い呼吸が再び始まる。青白かった唇に、わずかに血色が戻り、閉じていた瞼が微かに動いた。