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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第22章 輪廻

天界の神々は、このキツネを不憫に思いました。
鬼界を追放された魂を迎え入れ、神の遣いとしたのです。
キツネに前世の記憶はありません。
そんなキツネは何百年もの修行を終えて天狐(テンコ)となり、霊的な力を手に入れました。
強力な神通力をもった天狐は、災いを祓い、病を癒し、厄災から人間たちを護ります。
しかし天狐は気付きました。
このまま天から人々を救っても、人間はその恵みをとりあい、隣人同士で争ってしまう。
だから、もっと近くに寄り添うこととしたのです。
自らを人間に擬態させ、人界に降り、導くことにしたのです。
天狐はそれを神々に告げ、自身の正体を忘れることを条件に、人間の巫女になることを許されたのでした。
一方
友を殺してひとりとなったオニの少年は
神器の鏡を封印した屋敷の中で
何年も、何百年も───
追放されたキツネの魂を探し続けていました。
空虚な心を誰にもさとられないように
圧倒的な強さと畏怖で君臨する、鬼界の名も無き王となって。
……
……───
………────

