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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第23章 旅の夜


(もっと欲しい、お前が欲しい……!)


 苦しいだろうに……必死に舌を絡ませる巫女が、健気で扇情的で、愛おしかった。

 この顔を見るだけで、自身の熱がおさまる気がしない。ここまで貪欲に彼女を求める自分の浅ましさに自嘲しつつ、鬼はもう後戻りできなかった。

 目眩がするほど強く求めてしまう。


「許せ……!お前をっ……愛している……!」


 吐息まじりの低音で…男は重たい想いを吐露(トロ)する。


 傷付けられる怒り
 失う恐怖と悲しみ

 それらを知って初めて手に入れた。この厄介な愛情は、永遠に冷めやらぬ呪いである。


(もう、決して逃がすものか……!もう二度と)


 彼女の為ならば、あっさりと世界を焼いてしまえる


 劇薬のように刺激が強く
 同時に、例えようもない心の平穏を与えてくる


 実にやっかいな呪いなのだ。


 鬼の執着は甘い甘い檻となり、閉じ込めた乙女を飽きることなく抱き潰した。


 巫女の色めいた媚声が……一晩中、止まることなく部屋を満たす。白い尾が揺れ、涙と快感で乱される姿が、鬼の心を惹き付けて離さない──。


 つまり檻の中に囚われたのは、ふたり一緒というわけだった。














 ───…






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