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わたしのお散歩日記
第14章 社員旅行
職場の様子からだけでは知ることのできないAさんを知ることができたような気がしました。すると、Aさんがスッと近づいてわたしに耳打ちしました。
『今年はね、今まででいちばん上手く舞えたかも』
『え、どうしてですか?』
Aさんが胸元から小さな下着を取り出してわたしに見せました。
『わたしね、こういうときは普段はスキャンティ穿いてるんだけど、さっきあなた、大熱演してたじゃない? だから、私も下着なしで踊ってみたの。そうしたら、身体の動きとかが今までになくバシバシ決まって。あなたのおかげよ』
『大熱演…ですか?』
『そうよ。用意していたブルマも穿かずに踊るなんて。男心をくすぐるツボをよく心得ているのね…』
(ブルマなんてあったの!?)
辺りを見回すと、わたしが穿き忘れたらしいブルマが床に落ちていました。
『あなた、新人だけどこういうのって前に経験でもあるの? マイペースで堂々としていたじゃない?』
そんなこと絶対ないと思いました。
『もう、無我夢中で…』
『あらそうなの? でも、夢中になれたんだったらいいわね。舞台って、自分を変えられるのよね。快感でしょ? あなたもわかっているんでしょうけど』
変わり過ぎなのはAさんのほう…と思いました。それにしても、男心をくすぐるつもりなど、少しもなかったのですけど…。ただ、せっかくの『通過儀礼』だったのだとすれば、自分を変える快感…というのが少しわかったような気がしたのは、つまらない手品をしてお茶を濁すよりは、いい経験だったのかも…と思ったのでした…。
…あれから、長い年月が過ぎていろいろな『通過儀礼』を経験してきたような気がします。また、お散歩の途中で、不意に思い出すこともあるでしょう。当時は”ハレンチ”だと思った衣装も、今となっては懐かしい思い出。また着てみたいかも…なんて思ってしまいますが、肝心の着るカラダのほうがすっかり衰えてしまって、不釣り合いに過ぎます。Aさんのように日本舞踊でも嗜んでおくべきだったかしら…。
そう思うと、Aさんがあんな衣装を用意したのも、わたしたちに若いうちにしかできないことを経験させてくれようとしたからだったのかもしれません。
『今年はね、今まででいちばん上手く舞えたかも』
『え、どうしてですか?』
Aさんが胸元から小さな下着を取り出してわたしに見せました。
『わたしね、こういうときは普段はスキャンティ穿いてるんだけど、さっきあなた、大熱演してたじゃない? だから、私も下着なしで踊ってみたの。そうしたら、身体の動きとかが今までになくバシバシ決まって。あなたのおかげよ』
『大熱演…ですか?』
『そうよ。用意していたブルマも穿かずに踊るなんて。男心をくすぐるツボをよく心得ているのね…』
(ブルマなんてあったの!?)
辺りを見回すと、わたしが穿き忘れたらしいブルマが床に落ちていました。
『あなた、新人だけどこういうのって前に経験でもあるの? マイペースで堂々としていたじゃない?』
そんなこと絶対ないと思いました。
『もう、無我夢中で…』
『あらそうなの? でも、夢中になれたんだったらいいわね。舞台って、自分を変えられるのよね。快感でしょ? あなたもわかっているんでしょうけど』
変わり過ぎなのはAさんのほう…と思いました。それにしても、男心をくすぐるつもりなど、少しもなかったのですけど…。ただ、せっかくの『通過儀礼』だったのだとすれば、自分を変える快感…というのが少しわかったような気がしたのは、つまらない手品をしてお茶を濁すよりは、いい経験だったのかも…と思ったのでした…。
…あれから、長い年月が過ぎていろいろな『通過儀礼』を経験してきたような気がします。また、お散歩の途中で、不意に思い出すこともあるでしょう。当時は”ハレンチ”だと思った衣装も、今となっては懐かしい思い出。また着てみたいかも…なんて思ってしまいますが、肝心の着るカラダのほうがすっかり衰えてしまって、不釣り合いに過ぎます。Aさんのように日本舞踊でも嗜んでおくべきだったかしら…。
そう思うと、Aさんがあんな衣装を用意したのも、わたしたちに若いうちにしかできないことを経験させてくれようとしたからだったのかもしれません。

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