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第5章 車の中のキス

フロントガラスに映る街の灯りが、
ゆっくりと流れていく。

夜の国道、信号で止まったとき、
彼が黙ったままこちらを見つめていた。

「……どうしたの？」
問いかけた唇に、答える代わりに触れてきたのは、
彼の熱を帯びたキスだった。

シートの狭い空間、
シフトレバーをよけるようにして身を寄せ、
彼の手がそっと私の頬を包んだ。

唇が重なり、ほどけて、また重なる。
車内に、ふたりだけの時間が濃密に流れていく。