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木漏れ日をすくう手
第2章 雨音のかたち

チャイムの音が遠ざかっていく頃、空はすっかり灰色に染まっていた。
窓ガラスを細かく叩く雨の音が、教室のざわめきをゆっくりと静めていく。
傘を忘れたことに気づいたのは、下駄箱の前だった。
取りに戻るのも面倒で、なんとなく足は保健室の前で止まっていた。
扉を開けると、薄暗い部屋の奥から、椎名先生がこちらを見て微笑んだ。
「雨、ひどくなったね。どうしたの?」
「……ちょっと、雨宿りです」
葵はそう言って中に入る。ほんのりあたたかい空気が、濡れた制服の袖に触れて、じんわりと心までほぐれるようだった。
窓ガラスを細かく叩く雨の音が、教室のざわめきをゆっくりと静めていく。
傘を忘れたことに気づいたのは、下駄箱の前だった。
取りに戻るのも面倒で、なんとなく足は保健室の前で止まっていた。
扉を開けると、薄暗い部屋の奥から、椎名先生がこちらを見て微笑んだ。
「雨、ひどくなったね。どうしたの?」
「……ちょっと、雨宿りです」
葵はそう言って中に入る。ほんのりあたたかい空気が、濡れた制服の袖に触れて、じんわりと心までほぐれるようだった。

