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映える恋(短編集)
第2章 ひとしづく、夜に落ちて

静かな部屋に、雨の音が優しく降り注ぐ。
それはまるで、ふたりの間を満たすように響いていた。
紗世の吐息が耳元でふわりと揺れるたび、私は今、どこにいるのか忘れてしまいそうになる。
肩に落ちた髪を指ですくい、唇が喉元にふれる。肌が触れるたび、心の奥で何かが鳴っている。一滴、一滴――。
彼女が私のなかに、静かに落ちていく音がした。
もう戻れないかもしれない。けれど、後悔なんて不思議とどこにもなかった。
ただ、この夜が終わらないでほしいと願った。
雨音は変わらず、優しく窓を叩いている。
その音に抱かれながら、私はそっと目を閉じた。
それはまるで、ふたりの間を満たすように響いていた。
紗世の吐息が耳元でふわりと揺れるたび、私は今、どこにいるのか忘れてしまいそうになる。
肩に落ちた髪を指ですくい、唇が喉元にふれる。肌が触れるたび、心の奥で何かが鳴っている。一滴、一滴――。
彼女が私のなかに、静かに落ちていく音がした。
もう戻れないかもしれない。けれど、後悔なんて不思議とどこにもなかった。
ただ、この夜が終わらないでほしいと願った。
雨音は変わらず、優しく窓を叩いている。
その音に抱かれながら、私はそっと目を閉じた。

