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火照るあなたの横にある小説
第1章 明かりのむこうに

【背中で読む詩】
小さな書店の、詩集コーナーの奥。
灯は、その日も静かに本を並べていた。指先で撫でるように背表紙を揃え、肩越しに誰かの視線を感じる。
振り返ると、そこに澪がいた。
淡い色のブラウス、風に遊ばれた髪。数日前に一度見かけただけのはずなのに、不思議と記憶に残っていた。
「また来てしまいました」
その一言が、さざ波のように胸の奥をくすぐる。
灯は微笑む。無言のまま本棚の隙間を指差すと、澪は黙ってその前に腰をおろした。
詩のページをめくる音が、ふたりの空間をやさしく満たしていく。
小さな書店の、詩集コーナーの奥。
灯は、その日も静かに本を並べていた。指先で撫でるように背表紙を揃え、肩越しに誰かの視線を感じる。
振り返ると、そこに澪がいた。
淡い色のブラウス、風に遊ばれた髪。数日前に一度見かけただけのはずなのに、不思議と記憶に残っていた。
「また来てしまいました」
その一言が、さざ波のように胸の奥をくすぐる。
灯は微笑む。無言のまま本棚の隙間を指差すと、澪は黙ってその前に腰をおろした。
詩のページをめくる音が、ふたりの空間をやさしく満たしていく。

