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火照るあなたの横にある小説
第2章 触れ合う温度

【朝に触れる】
目を覚ましたとき、まだ藍の腕の中だった。
外はうっすらと白み始めていて、カーテンの隙間から柔らかな光が差し込んでいた。
「……起きてたの?」
千景が小さくつぶやくと、藍は目を開け、ふふっと笑った。
「うん、千景が寝顔で名前呼ぶから」
「うそ……っ」
顔を背けようとすると、藍が腕を回して抱き寄せた。
「逃げないで。もう、昨日の千景じゃないんだから」
千景の頬が、じんわりと熱を帯びる。
確かに、そうかもしれない。
怖がりで、誰かに心も身体も預けるなんて考えられなかった自分が、
いま、こうして藍に触れられている。
「……ありがとう」
ようやく出てきたその言葉に、藍は黙ってキスをくれた。
静かで、柔らかくて、昨夜よりもずっと深いキスだった。
肌と肌が重なった夜の記憶は、決して一時の衝動じゃない。
眠れない都会の夜に、見つけたひとつの確かさだった。
「この先、どうなるかわからないけど」
藍が髪を撫でながら言った。
「でも、千景がそばにいてくれるなら、あたし、きっと変われる」
胸の奥で、また鼓動が鳴る。
それは不安じゃなくて、希望に似た響きだった。
千景は、ゆっくりと頷いた。
新しい朝が、静かに始まっていく。
目を覚ましたとき、まだ藍の腕の中だった。
外はうっすらと白み始めていて、カーテンの隙間から柔らかな光が差し込んでいた。
「……起きてたの?」
千景が小さくつぶやくと、藍は目を開け、ふふっと笑った。
「うん、千景が寝顔で名前呼ぶから」
「うそ……っ」
顔を背けようとすると、藍が腕を回して抱き寄せた。
「逃げないで。もう、昨日の千景じゃないんだから」
千景の頬が、じんわりと熱を帯びる。
確かに、そうかもしれない。
怖がりで、誰かに心も身体も預けるなんて考えられなかった自分が、
いま、こうして藍に触れられている。
「……ありがとう」
ようやく出てきたその言葉に、藍は黙ってキスをくれた。
静かで、柔らかくて、昨夜よりもずっと深いキスだった。
肌と肌が重なった夜の記憶は、決して一時の衝動じゃない。
眠れない都会の夜に、見つけたひとつの確かさだった。
「この先、どうなるかわからないけど」
藍が髪を撫でながら言った。
「でも、千景がそばにいてくれるなら、あたし、きっと変われる」
胸の奥で、また鼓動が鳴る。
それは不安じゃなくて、希望に似た響きだった。
千景は、ゆっくりと頷いた。
新しい朝が、静かに始まっていく。

