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火照りが引かないあなたに
第8章 密室の揺れ

満員電車の熱気が息苦しく、身体がぎゅうぎゅうに押しつぶされる。
彼女は隣に立っていた。人混みのせいで、彼女の体が俺に密着し、薄く濡れた髪が頬に触れた。
「…ここ、動けないね」
囁く声に、心臓が跳ねる。彼女の指先が、さりげなく俺の腕に触れた。
その冷たさが、熱を呼び覚ます。
周囲の視線と振動の中、俺たちは微かな隙間を探り合う。
衣服の重なりが擦れる音、吐息が熱く交わる。誰も気づかない、秘密の接触。
「見られたら…まずいよね」
彼女の唇が耳元で震え、息遣いが乱れる。
その瞬間、意識が薄れ、身体が勝手に反応していた。
電車の揺れに合わせ、俺の手が彼女の腰に回る。密着する背中の肌が、まるで火傷しそうに熱い。
隣の無関心な群衆の中、ふたりだけが時間を止めている。
そして、彼女の視線が鋭く俺を捕らえた。無言の許しと欲望が、あふれ出している。
短い停車の間に、唇が重なり、唇の奥で熱が燃え上がった。
再び動き出す電車。周囲のざわめきが現実へと引き戻すけれど、
俺たちは確かに、密室の揺れの中で何かを刻んでいた。
完
彼女は隣に立っていた。人混みのせいで、彼女の体が俺に密着し、薄く濡れた髪が頬に触れた。
「…ここ、動けないね」
囁く声に、心臓が跳ねる。彼女の指先が、さりげなく俺の腕に触れた。
その冷たさが、熱を呼び覚ます。
周囲の視線と振動の中、俺たちは微かな隙間を探り合う。
衣服の重なりが擦れる音、吐息が熱く交わる。誰も気づかない、秘密の接触。
「見られたら…まずいよね」
彼女の唇が耳元で震え、息遣いが乱れる。
その瞬間、意識が薄れ、身体が勝手に反応していた。
電車の揺れに合わせ、俺の手が彼女の腰に回る。密着する背中の肌が、まるで火傷しそうに熱い。
隣の無関心な群衆の中、ふたりだけが時間を止めている。
そして、彼女の視線が鋭く俺を捕らえた。無言の許しと欲望が、あふれ出している。
短い停車の間に、唇が重なり、唇の奥で熱が燃え上がった。
再び動き出す電車。周囲のざわめきが現実へと引き戻すけれど、
俺たちは確かに、密室の揺れの中で何かを刻んでいた。
完

