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大きなクリの木の下で
第9章 由里子の家

久しぶりに食事らしい食事にありつけて
満腹になると眠気がやってくる。
「疲れちゃいました?横になります?」
生欠伸を繰り返す竹本に気づいて由里子は寝室へ連れ込む。
「えっと…僕の寝床は…」
「いやねえ、そんな他人行儀だわ
このベッドで一緒に寝ればいいじゃない」
「いや…そう言うわけにもいかないだろ」
「そんな気を使う間柄じゃないじゃない」
「そうだけど…でも、隣の部屋にはご両親が寝てるわけだし」
「あらやだ、あなたったら夜の営みを期待してるわけ?」
「えっ?ああ、そうか…寝るだけだもんな
いやらしいことを考えてしまったよ」
「そんな風に思えるのも元気になってきた証拠よ」
そう言って由里子は車椅子からベッドに移乗させてくれる。
しっかり抱きついてくれなきゃ落としちゃうわよと注意をされて、まるで抱擁するかのように由里子に抱きついた。
病室とは違って、彼女の体臭は汗臭くなく、
風呂上がりのいい匂いがしていた。
たまらずに自由になっている左手で彼女の尻を撫でる。
「ほら、悪戯しちゃダメでしょ
手が滑って落としちゃったら引っ付きかけた骨折がまた折れちゃうわ」
それは困ると竹本は必死に由里子に抱きついた。
「ちょ、ちょっと!」大の男に必死に抱きつかれては移乗がうまくいかない。
そのまま二人してベッドに転がり込んだ。
「うふふ…重かったわ」
「ごめんよ、落とすなんて言うから」
「ううん、私こそ脅すような事を言ってごめんなさい」
抱き合ったまま二人は見つめ合う。
そして、どちらからともなく顔を寄せてキスをした。

