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大きなクリの木の下で
第9章 由里子の家

翌朝、朝食のテーブルについた二組の男女の目の下にはくっきりとクマができていた。
とりわけ男は気だるい雰囲気を醸し出していたが、反対に女二人は疲れきった表情なのに体は充実感に満ちあふれ、絶倫の男なら今すぐにでも抱いてしまうような色香を体じゅうから漂わせている。

「名残惜しいわあ…お昼には病院に戻らなくてはいけないんでしょ?」

旦那の口に朝食を運びながら
いっそのことすぐにでも退院してここで暮らせばいいのにと登喜子は竹本を引き留めようとする。

それも悪くはない考えだと竹本の心は揺れ動く。
病院に戻っても由里子は日勤なので夜のお楽しみがないからだ。
しばらくは、あの高慢ちきなナースの世話になることを思うと、この家で養生する方が傷の治りが早いような気がする。

「また週末になれば外泊許可をもらって連れて帰ってくるわ」

そう言いながらテーブルの下で由里子は竹本のペニスを握る。

ご両親がこの場にいなければ、今すぐにでもセックスを始める気が満々であった。

「僕もなんだかこの家庭が性に合っているというかとても居心地がいいです」

「ね、竹本さん…
あなたさえ良ければ由里子と所帯を持たない?」

突拍子もない登喜子の提案に、由里子は思わず飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになった。

「やだ、お母さんったら何を言い出すのよ」

「だって、あなたたち、とてもお似合いよ」

そうね…既成事実さえあれば彼を私のモノに出来るのに…
そう思って妊娠していて欲しいと由里子はソッと自分の子宮辺りを撫でた。
でも、どう計算しても安全日で妊娠なんて叶わぬ夢だった。

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