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終わりの温もり、始まりの愛
第10章 旅の終わり、そして
旅館の朝、窓の外には澄んだ空気が広がっていた。
荷物をまとめる音が静かに部屋に響く。
誠一と由紀子は、しばらく言葉なくお互いの顔を見つめ合った。

「ありがとう」
誠一の声には感謝と切なさが混じっていた。

「私も」
由紀子は微笑み、そして目を伏せる。

娘のこと、過ごした日々、離れていく未来。
様々な想いが胸に去来したけれど、ふたりはもう決めた道を歩き始めていた。

扉を開けて一歩踏み出す。
それは終わりの一歩であり、新しい人生への一歩でもあった。

過去を抱きしめ、未来に向かうふたりの背中には、
いつまでも消えないぬくもりが確かに残っていた。

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