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第7章 春：和弘（単身赴任の会社員）

４月中旬の、週末の午後…

紺色のコンパクトカーが『たちばな』の駐車スペースに滑り込み、運転席から
今日の客である瀬川和弘が降りた。年齢は30歳。軽〜くぽっちゃりな体型で、
色白で丸顔で愛美くらいの身長。耳周りを刈り上げて、ツンツンさせた短髪。
実家は首都圏だが、全国的に名が知れてる企業の◯◯支店へ単身赴任中の男。

「う〜…緊張するっ」

玄関をチラと見て一言呟き、キャリーケースを引いて歩き出す…動画サイトで
見かけた“えむ”を気に入り、チャットしたら偶然にも同じ県内在住だった。
会いたい気持ちが募って頼み込み、念願叶って宿泊予約して、今日を迎えた。

（イメージ通りな人だよな…たぶん）

前々から『とびっきりの女とAVみたいな濃いエッチしてみたい』って願望を
心の奥底で燻らせてたけど、実現に至らないまま三十路。
それを抜きにしても、彼女いない歴が２年半…単純に人肌恋しくて堪らない。
玄関前で立ち止まって、数回の深呼吸。「お邪魔しまーす！！」と元気に挨拶
しながら、勢いよく扉を開ける。