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紅蓮の夜に、君をさらう
第2章 第2部 盗賊の王と囚われの姫

屋敷の中の一室に、私は部屋を与えられた。
といっても、そこには寝所があるだけ。
小さな机と、薄い布団が一枚。装飾らしきものは一切ない。
けれど――もしかすると、ここではこれが“普通”なのかもしれない。
「王族の姫をさらってくるなんて、どうかしてるよ」
襖の外から、誰かの声が聞こえた。
さっき見かけた、背の高い男。たしか、**起炎(きえん)**さんと呼ばれていたはず。
「こんなこと、今までなかったのに……」
もう一人、がっしりとした体格の男――**具炎(ぐえん)**さんも呆れたように言う。
二人とも、明らかに私の存在を“異常事態”として扱っている。
当然だ。王族の姫が、夜叉王の屋敷にいるのだから。
といっても、そこには寝所があるだけ。
小さな机と、薄い布団が一枚。装飾らしきものは一切ない。
けれど――もしかすると、ここではこれが“普通”なのかもしれない。
「王族の姫をさらってくるなんて、どうかしてるよ」
襖の外から、誰かの声が聞こえた。
さっき見かけた、背の高い男。たしか、**起炎(きえん)**さんと呼ばれていたはず。
「こんなこと、今までなかったのに……」
もう一人、がっしりとした体格の男――**具炎(ぐえん)**さんも呆れたように言う。
二人とも、明らかに私の存在を“異常事態”として扱っている。
当然だ。王族の姫が、夜叉王の屋敷にいるのだから。

