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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第15章 不可逆的ラベリング
呼吸を整えたナツがゆっくりと瞼を開ける。

またしても呆気なく果ててしまったナツの姿を前に、裕樹は興奮を通り越して、言葉を失っていた。

突然手に入れた力を持て余しているような、自分ではない何かになった感覚。

次はどうやってナツに触れようか──

裕樹がそんなことを考えていた矢先、ナツの腕が裕樹をそっと抱き寄せた。

「…んーっ。本当はこのまま最後までしたいのに。よりによって今日できないなんて…。」

ナツの声には悔しさが滲んでいて、そのまま裕樹の胸元に顔を埋める。

(その理由ってもしかして……。いや、これを口にするのは野暮だ。)

できない理由は、おそらく一つだろうと裕樹はそのわけを聞くのをやめた。

ナツは軽く息を吐いて、裕樹の背をポンと叩く。

「最後までするのは出来ないけど…。私に出来る範囲の全部で、裕樹を気持ちよくしてあげる。」

ナツのその言葉には、大人の女性の本気のような熱が篭っていた。

「横になって。」と指を刺して指示をされるままに裕樹はベッドに横たわる。

これから何が起きるのか、裕樹の思考は置き去りのままで、ナツが影を重ねるように覆い被さった。

柔らかい唇が触れて、舌が深く絡んでくる。

絡まる舌がやがて、頬、耳、首筋とそれぞれ温度の違うキスが下りていく。

裾を探る指先が弧を描くように動き、ナツの手の熱は裕樹の腹部にじんわりと伝わった。

抵抗する隙を与えない滑らかな動きで、裕樹のシャツは捲り上げられ、露わになった胸に、ナツの視線がそっと落ちる。

ナツがふわりと微笑んだ後、舌の柔らかな湿り気が、裕樹の蕾をかすめた。

「あぁ…気持ちいい…」

裕樹から漏れた本音に満足そうな表情を浮かべながら、右から左の蕾に舌が移動する。

そのまま鳩尾へと、一本の線を描くように降りていき、臍に触れる直前のナツの体温だけで、裕樹の身体は反応するようになっていた。

(この舐められ方…小説で書いた──)

ナツは裕樹が葵にしたことをなぞっていくようで、その続きを思い浮かべる最中、ナツがベルトのバックルに触れていた。
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