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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第19章 新しい記号
「例えば……。」

ナツは裕樹の手の甲の血管をなぞりながら、記憶を辿っているようだった。

「裕樹は、私と会ってからどんなことに興奮した?」

「最初は……おっぱいに興奮した。ずっと見てたのもバレバレでカラオケの個室で手を引かれて触って……。」

湯船に沈んだ大きい果実を持ち上げると、指先に伝わる重量感は、当時と変わらない。

触れた拍子にナツの身体が僅かに身じろぎ、吐息に混じるような笑い声が漏れた。

「うんうん、他には?」

「強く触っていいよって言われたりとか、ナツが目の前でオナニーを始めた時も……。でもこの時はまだ、俺が一方的に興奮してるだけで……。」

「裕樹が興奮してるところを、私が楽しんでいた時だね。」

「そう、それだよ。ナツといると、なんでか……。」

「なに?」

「俺にいつも恥ずかしいことされてるはずなのに、ナツはいつも楽しそうなんだよね。」

言葉にしてみると、初めからそうだったのかもしれない。

ナツは快楽に溺れているようで、その状況を愉しむような──

受け入れたその先を見ているようだった。

「初めの頃はたくさんイカせて夢中にさせよう、なんて思ってたのに……ナツはもっと上手だった。」

「そのうちナツを気持ちよくしたら、この後どんなふうに返ってくるんだろうって。会った瞬間から、それを想像すると興奮しちゃってさ。」

「ふーん……。いつの間にかされる側になっちゃったんだね。」

「うん……。」

ナツにそう言われると、今までの自分が裏返ってしまったようだった。

「カメラの前でポーズしたりとか、目の前でおしっこしたのも、エロいことを期待してるからしちゃったの?」

「いや……。どうなんだろう分からない。」

「私がさ、会った時から、おしっこしなさい、とか、カメラの前で恥ずかしいポーズしなさいとか、女王様っぽい感じで命令してたら興奮した?」

「多分、そんなに興奮しないと思うし、ここまで仲良くなれないんじゃないかな……。」

気恥ずかしさを誤魔化すように裕樹は曖昧に笑って、指先で濡れた髪を掻いた。

「なるほどね……。」

ナツが次の言葉を口にするまで、少しだけ時間が流れ、遠ざかっていた虫の声は再び耳に届く。

裕樹は重たい乳肉に手に添えたまま、手持ち無沙汰に指を動かした。
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