この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ
柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第20章 視線のその先
あれから十年の月日が経っても、ナツと過ごした時間は記憶に色濃く焼き付いている。

ナツとの睦事は一年以上続き、明確な最後の日については覚えていない。

会う頻度が減って、連絡の回数も少なくなったが、飽きたというわけではない。

会わない時間に何をしていたのかも、以前と比べて話さなくなった。

仕事、友人、プライベートの時間は、お互いが知らぬ場所で積み重なっていき、それらを深く尋ねることもない。

「彼氏できた。裕樹と同い年の男の子。」

突然の報告に驚いたものの、ナツを取られたというような感覚は裕樹にはなかった。

自分と同じように、ナツの色香にあてられたのだろうか。

ナツとの身体の相性が合わなかったら、大変そうだな、と余計なことまで考えた。

それでもナツが幸せになってくれるようにと、祝福のメッセージを送った。

それからしばらくして、裕樹にも恋人ができた。

同じように報告をすると、ナツもまた「幸せになってね。」とメッセージをくれた。

交際相手ができて、普通ならそこで連絡を断つものなのかもしれない。

それでも不思議と、裕樹とナツはそうしなかったし、罪悪感を感じることもなかったからか、数ヶ月に一度他愛のないやり取りをしていた。

それからしばらく経った春先、ナツから届いたメッセージに、またしても裕樹は驚いた。

「久しぶり。突然だけど、九州に帰ることにしたよ。もう東京でやり残したこともないし、彼とも修復不可能だからいいタイミングだと思ってね。」

その文章に、一瞬だけ指先が固まった。

曖昧なまま続いていた二人の関係に、一つ区切りがついた気がした。

「そっか。向こうに行っても元気でね。色々ありがとうね。」

それから少し考えて、もう一通だけナツにメッセージを送った。

「ナツと過ごした時間は、ものすごく刺激的で、多分一生忘れられないと思う。」

淡々と本心を綴ったが、さよならと告げるより、ただ感謝の気持ちを伝えるくらいがちょうど良いと思った。

ホテルから出て、お互いの帰路に向かう時のような調子でナツは東京を後にした。

引き止めようとも、会いにいくこともなかった。

また東京に来ることがあれば、その時に会えれば良い。

そんなふうに考えていたが、以来一度も会うことはなかった。
/205ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ