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家は檻。〜実父の異常な愛〜
第2章 続いた夜

こよみは宿題を終えると、鉛筆をそっと置いて立ち上がった。
洗面所で歯を磨き、口をゆすぐ音が夜の静けさに妙に大きく響く。
鏡越しに自分の顔を見つめると、なんだか、目だけが起きているような気がした。
居間に戻り、両親に軽く頭を下げる。
「おやすみなさい」
母は「おやすみ」と優しく返し、父は新聞を読んだまま、目を合わせずに「うん」と呟いた。
部屋に戻って布団に入る。
目を閉じてみるが、眠気はやってこない。
何度も寝返りを打ち、まぶたの裏で今日一日の出来事をなぞる。
そうしているうちに、何時間経っただろうか、こよみにもついに眠けが訪れていた。
このまま一日が終わる……と思った、そのときだった。
ギッ……、という階段の軋む音が、ひとつ。
こよみの耳だけが、それを聞き逃さなかった。
ビクリと体が小さく跳ねる。
音は、少し間をおいて、もうひとつ。
重い足音が、ゆっくりと上ってくる。
こよみの大粒な目は見開き、心臓が、ひとつ大きく跳ねた。
すかさずこよみは目を閉じ、息を潜める。
孝幸が、こよみの部屋のドアを静かに開けた。
しばらくして、ドアがそっと閉じられる音がした。
(お父様、部屋の様子を見にきただけ……もう行った?)
そう考えながら、こよみはまぶたを固く閉じたまま耳を澄ます。
……ギシ。
ベッドのスプリングが、小さく沈む。
布団越しに感じる重み。
孝幸は、再びこよみに覆いかぶさっていた。
孝幸は、ためらうそぶりひとつ見せずに、こよみの唇を奪った。
まただ。
また、あのキス――。内臓の奥がひっくり返るような、ぞわりと背骨をなぞる感触。
こよみの全身が、石のように固まる。
孝幸の舌が、こよみの唇をこじ開ける。
閉じた歯の隙間に無理やり割り込み、歯茎をなぞるその濡れた感触に、こよみは身じろぎもできなかった。絡めとられる。逃げられない。
舌が舌を吸う。音がした。唾液の音、息づかい、鼻の奥で鳴るくぐもった喘ぎ。
左手がこよみの頭を抱え、力がこもる。
右手はパジャマの裾から入り込み、まだ乳房とは呼べないほどの膨らみを這い、やがて乳首を探り当てた。
爪先が肌を掻く。
びり、と微かな痛みが走る。
逃げようとする気配を、孝幸は見逃さなかった。
洗面所で歯を磨き、口をゆすぐ音が夜の静けさに妙に大きく響く。
鏡越しに自分の顔を見つめると、なんだか、目だけが起きているような気がした。
居間に戻り、両親に軽く頭を下げる。
「おやすみなさい」
母は「おやすみ」と優しく返し、父は新聞を読んだまま、目を合わせずに「うん」と呟いた。
部屋に戻って布団に入る。
目を閉じてみるが、眠気はやってこない。
何度も寝返りを打ち、まぶたの裏で今日一日の出来事をなぞる。
そうしているうちに、何時間経っただろうか、こよみにもついに眠けが訪れていた。
このまま一日が終わる……と思った、そのときだった。
ギッ……、という階段の軋む音が、ひとつ。
こよみの耳だけが、それを聞き逃さなかった。
ビクリと体が小さく跳ねる。
音は、少し間をおいて、もうひとつ。
重い足音が、ゆっくりと上ってくる。
こよみの大粒な目は見開き、心臓が、ひとつ大きく跳ねた。
すかさずこよみは目を閉じ、息を潜める。
孝幸が、こよみの部屋のドアを静かに開けた。
しばらくして、ドアがそっと閉じられる音がした。
(お父様、部屋の様子を見にきただけ……もう行った?)
そう考えながら、こよみはまぶたを固く閉じたまま耳を澄ます。
……ギシ。
ベッドのスプリングが、小さく沈む。
布団越しに感じる重み。
孝幸は、再びこよみに覆いかぶさっていた。
孝幸は、ためらうそぶりひとつ見せずに、こよみの唇を奪った。
まただ。
また、あのキス――。内臓の奥がひっくり返るような、ぞわりと背骨をなぞる感触。
こよみの全身が、石のように固まる。
孝幸の舌が、こよみの唇をこじ開ける。
閉じた歯の隙間に無理やり割り込み、歯茎をなぞるその濡れた感触に、こよみは身じろぎもできなかった。絡めとられる。逃げられない。
舌が舌を吸う。音がした。唾液の音、息づかい、鼻の奥で鳴るくぐもった喘ぎ。
左手がこよみの頭を抱え、力がこもる。
右手はパジャマの裾から入り込み、まだ乳房とは呼べないほどの膨らみを這い、やがて乳首を探り当てた。
爪先が肌を掻く。
びり、と微かな痛みが走る。
逃げようとする気配を、孝幸は見逃さなかった。

