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僕の母さん
第9章 クリスマスプレゼント

「美味しかったわ~」

ホテルの高級ステーキ料理のお店を出て、
佐智子は、このような高級料理をご馳走してくれた真壁に親愛を込めて彼と腕を組んでお店を後にした。

「この後、どうです、最上階のスカイラウンジで軽く呑みませんか?」

下心を丸見えにさせながら、真壁は「まだ帰さないよ」とばかりに佐智子をさそった。

「あ、でも、早く帰ってあげないと娘さんが一人でお留守番しているんでしたっけ?」

真壁は押しては引くという事を心得ていた。
強引に迫るのは得策ではないと知っていた。

「彩也香は大丈夫よ
あの子もボーイフレンドと約束しているらしく、私にママ、ゆっくりしてらっしゃいって言ってくれたもの」

「なるほど…よくできたお嬢さんだ」

脈ありと読んだのか、真壁は強引に佐智子の腰に手を回してきた。

「だから…もう少し呑みたい気分なの」

ステーキ店でかなりのワインを呑んでいたので、
本音を言えばアルコールはもう充分だったけれど、
今ここでサヨナラするには時間が早すぎる。

「テキーラベースの強めのカクテルなんかどうですか?
甘口のワインばかりでガツンとした手応えがなかったんじゃないですか?」

真壁に誘われるまま、ラウンジで強めのカクテルを呑んだ。
心拍数が一気に跳ね上がる。

「酔いすぎて一人で帰れるか心配だわ」

さあ、この後は私を自由にしていいのよと
彼の肩に頭を乗せて、豊満な胸で男の肘にグイグイと押し付けた。

「ちょうどよかった…一応、ホテルの部屋を押さえておいたんです…少し休んでいったほうがいいかな?」

そう言って真壁は、カウンターの上に部屋のカードキーを置くと、部屋へ行くのも帰るのもあなたの自由ですとばかりに、佐智子の目の前にカードキーを滑らせた。
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