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HEAVEN~時を超えて~
第3章 錯乱
『ハァ…ハァっ…ハァ…っ…』

彼氏とお弁当を持って出かけた先だったら
なんて素敵な場所だろう

あたしの置かれた状態で言うなら
険しい山道って言えばしっくりくる


『っ…ぁ…っ…!』

脚がもつれたり、草木に脚を取られて
簡単に転んでしまう

何日も運動もしなければ、満足に外にも出ていないから
体力も落ちていて、息切れがひどかった


道と言う程も整備された道はない

だけど、代わりにそれらしきものがひとつしかない

分かれ道さえなければ迷わずに

このまま下って行けば何処かしらには辿り着ける



『ハァっ…ハァ…ハァ・・・誰かっ…助けて・・っ』



苦しい…肺が千切れそう…喉が渇いた



『誰か・・・ハァ…ハァ…誰か、いませんか…っ』



お願い…誰でもいい、、あたしを助けて



ついに止まってしまった脚を気にしながら
サラサラと流れる湧き水みたいな小川が目に入る


コクリと喉が鳴って足を止める


『…飲んでも・・・平気なのかな』


下まで透明に綺麗に見える水


躊躇いつつも両手を小川につけて
水を掬おうとしていた


『ハァ…冷たくて…気持ちいい…ハァ…ハァ』


パシャっ…


次の瞬間、せっかく掬い上げた水を両手から逃がしてあたしは目を見開く



『あ・・・…』


喉の渇きを忘れて、また走る




あたしの目線の先に見えたのは

今や世間一般でも少なくレアになった…公衆電話



神様のくれた救いの手だ…!


本気でそう思って最後の力を振り絞って走った



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